2019 後期(学部生向け)言語学・応用言語学講義 II

連絡事項がある場合には、Moodle からメッセージを送ります。

講義題目

 日本語研究の基礎

授業目的

 この授業では、実際に日本語を材料として統語論の研究を進めていくための基礎技能を身につけることを目標とする。予備知識は必要としない。

 この授業の中心にすえられている作業は、
  1. 自分で関連する例を集め、
  2. データを整理し、
  3. 一般化を目指す
ということである。そのために、毎回、教科書の指定部分を読んで簡単な小テストに答えてもらう。授業では、予習課題の作業の中で出てきた問題点を取り上げ、討論もまじえて進めていく。その過程で、統語論研究において留意しなければならないことや知っておかなければならないことが浮き彫りになればと考えている。ぜひ理解しておいてほしい事項に関しては、授業内にも簡単な小テストを行う可能性がある。

 また、授業で説明したことに基づいて考察を発展させるために、レポート課題に取り組み仕上げてもらう。レポート課題は、下の表に提示してあるように、たくさんの選択肢があるので、自分の興味に応じて、最低1つを選び、取り組んでほしい。(レポート課題提出に関する詳しいことについては、下の項目を参照のこと。)

教科書

  • 益岡隆志・田窪行則 (1992) 『基礎日本語文法 改訂版』 くろしお出版。 \2300。

参考書

  • 上山あゆみ (1991) 『はじめての人の言語学 〜ことばの世界へ』 くろしお出版。 \2300。
 授業の内容には、上記の本の2章と3章の内容が含まれている。ただし、授業で直接この本を用いることはしないので、必要ないと思えば買う必要はない。
  • 庵 功雄 (2001) 『新しい日本語学入門 〜ことばのしくみを考える』 スリーエーネットワーク。 \1800。
 授業で紹介する考え方と必ずしも同じではない部分もあるが、一読すると、日本語の仕組みについての全体像がバランスよくつかめると思う。各項目ごとに参考文献も丁寧に紹介されているので、さらに考察を進めたいときにも役に立つだろう。

単位の認定と評点について

  • 学期末試験は課さない。
  • 単位は、各種課題と授業の参加状況に基づいて判定する。

授業内容

(更新日:2019.08.13)
第1回 2019.10.03.
内容 この授業の目標について
授業の進め方についての説明
教科書 序論 pp.2-5
第2回 2019.10.10.
内容 単語とは? −−自立語 付属語 複合語 和語 漢語
教科書 品詞と語の構造 pp.8-11;接辞 pp.62-68;補説 pp.69-72;慣用句 pp.178-179
第3回 2019.10.17.
内容 品詞の区別
教科書 形容詞 pp.21-24;判定詞 pp.25-28;助動詞 pp.29-32;名詞 pp.33-37;指示詞 pp.38-40;副詞 pp.41-48;助詞 pp.49-54;連体詞 pp.55-56;接続詞 pp.57-59;感動詞 pp.60-61;
第4回 2019.10.31.
内容 動詞の活用
教科書 動詞 pp.12-20;テンスとアスペクト pp.108-116
第5回 2019.11.07.
内容 項と付加詞
教科書 補足語 pp.74-83;対称性の構文 pp.89-91;述語の修飾語 pp.95-100;
第6回 2019.11.21.
内容 ヴォイス
教科書 ヴォイス(受動表現・使役表現・可能表現) pp.101-107;授受の構文 pp.85-88
第7回 2019.11.28.
内容 名詞句
教科書 名詞句の構造 pp.157-163;連体節 pp.200-205
第8回 2019.12.05.
内容 指示
教科書 指示 pp.164-169;存在・所有の構文 pp.84-85
第9回 2019.12.12.
内容 取り立て
教科書 提題と取り立て pp.145-156
第10回 (2019.12.19.)
内容 ムード
教科書 ムード(確言・命令・禁止と許可・依頼・当為・意志/申し出/勧誘・願望・概言・説明・比況) pp.117-134;疑問 pp.135-140;否定 pp.140-144
第11回 2020.01.09.
内容 埋め込み文
教科書 補足節 pp.182-187;副詞節 pp.188-199;並列節 pp.206-210;従属節の従属度 pp.211-214
第12回 2020.01.16.
内容 いろいろな構文(I)
教科書 感情の構文 pp.88-89;比較の構文 pp.91-93;変化の構文 pp.93-94
第13回 2020.01.23.
内容 いろいろな構文(II)
教科書 省略、繰り返し、語順転換、縮約 pp.170-174
第14回 2020.01.30.
内容 いろいろな構文(III)
教科書 分化文と未分化文 pp.175-177;敬語表現 pp.216-221;男女差 pp.222-225