2016後期 (院生向け)理論言語学特論 II

ここに連絡事項を掲載することがありますので、受講者はときどきチェックするようにしてください。

講義題目

 統語論と記述的一般化

授業目的

 理論言語学では、理論の構築が最終的な目標となるが、そのために最も重要なのは、説明対象をどのように特定するかということである。言語理論の説明対象となるのは、記述的一般化(descriptive generalization)と呼ばれる命題とその内容を体現する例文群(パラダイム)であるが、当然ながら、命題と例文群ならば何でもいいわけではなく、どこに注目して、何を気をつけて例文を作らなければならないかというところが、言語学の基本的な技能のあらわれということになる。この授業では、基本文献における記述的一般化とパラダイムを紹介し、それを批判的に吟味した上で、自分たちで記述的一般化とパラダイムを整備できるようになることを目標とする。

 授業内容の予定は、下の表に示している通りであるが、授業の進行状況によって、多少順序等が変わる可能性がある。

単位の認定について

  • 学期末レポートや学期末試験は課さない。
  • 単位は、(i) 提出物、(ii) 授業への参加度に基づいて判定する。

授業内容

(更新日:2016.10.18)
第1回 2016.10.06.
現象
主に関わる論文 容認性判断と文法理論の説明対象
第2回 2016.10.13.
現象 Binding theory
主に関わる論文 Lasnik, Howard (1976) "Remarks on Coreference," Linguistic Analysis 2, pp.1-22.
第3回 2016.10.20.
現象 Binding theory
主に関わる論文 Lasnik, Howard (1976) "Remarks on Coreference," Linguistic Analysis 2, pp.1-22.
第4回 2016.10.27.
現象 E-type pronoun
主に関わる論文 Evans, Gareth (1980) "Pronouns," Linguistic Inquiry 11-2, pp.337-362.
第5回 2016.11.10.
現象 Case filter
主に関わる論文 Rouveret, A. & J.R. Vergnaud (1980) "Specifying Reference to the Subject," Linguistic Inquiry 11-1, pp.97-202.
第6回 2016.11.17.
現象 INFL と Case
主に関わる論文 Stowell, Tim (1982/1983) "Subjects Across Categories," The Linguistic Review 2, pp.285-312.
第7回 2016.11.24.
現象 structural Case と inherent case
主に関わる論文 Belletti, Adriana and Luigi Rizzi (1988) "Psych-Verbs and θ-Theory", Natural Language and Linguistic Theory 6, pp.291-352.
第8回 2016.12.01.
現象 null Case assigner
主に関わる論文 Larson, Richard K. (1988) "On the Double Object Construction," Linguistic Inquiry 19-3, pp.335-391.
第9回 2016.12.08.
現象 日本語と格 1
主に関わる論文 Saito, Mamoru (1983) "Case and Government in Japanese," WCCFL 2, 247-259.
第10回 2016.12.15.
現象 日本語と格 2
主に関わる論文 Takezawa, Koichi (1987) A Configurational Approach to Case-Marking in Japanese, Doctoral dissertation, University of Washington, chapter 2.
第11回 2016.12.22.
現象 日本語と格 3
主に関わる論文 Kuroda, S.-Y. (1988) "Whether We Agree or Not: A Comparative Syntax of English and Japanese," Linguisticae Investigationes 12, pp.1-47, also in Kuroda (1992) Japanese Syntax and Semantics, Kluwer Academic Publishers, Dordrecht, pp.315-357.
第12回 2017.01.05.
現象 日本語と格 4
主に関わる論文 高井岩生 (2009) 『スコープ解釈の統語論と意味論』, 博士論文, 九州大学.
第13回 2017.01.19.
現象 日本語と格 5
主に関わる論文 高井岩生 (2009) 『スコープ解釈の統語論と意味論』, 博士論文, 九州大学.
第14回 2017.01.26.
現象 日本語と格 6
主に関わる論文 高井岩生 (2009) 『スコープ解釈の統語論と意味論』, 博士論文, 九州大学.