2007 後期(学部生向け)言語学・応用言語学講義 II

ここに連絡事項を掲載することがありますので、受講者はときどきチェックするようにしてください。

講義題目

 日本語の基本構造

授業目的

 文の構造というものは、研究が進むにつれて新しい側面が明らかになっていくものであるから、定まった1つの答えがあるわけではないが、ある程度、衆目の一致する面もある。この授業では、具体的にいろいろな日本語の文を取り上げ、その構造について、どういう点をおさえておかなければならないかを議論する。基本的な構文ならば、大体の構造図が書けるようになることが目標である。受講学生の制限はないが、授業の主たるターゲットとして、言語学・応用言語学専攻の2・3年生を想定している。

 まず、予習課題として、授業内容と関連する例文を自分で考えたり、その意味や構造について考えてきてもらう。そこで提出された例文に言及しながら、授業では、当該構文の構造について議論していく。(予習課題提出に関する詳しいことについては、下の項目を参照のこと。)

 文の構造図は、自分で書いてみて初めて、様々な細かい点に注意を向けることができるようになる。この授業では、毎授業の開始時に、復習テストとして構造図を書く練習をしてもらい、そこであらためて出てきた疑問点にも答えていく。この復習テストは出欠確認を兼ねており、細かい得点化はしないが、よっぽど出来の悪いものは区別したいと思っている。

 また、最低1本のレポートを仕上げて提出することを単位認定の条件の1つとする。冬休み前に課題を提示するので、レポートでは、その構文の構造図はどのようなものか、理由をつけて説明した上で、結論としての構造図を書いてもらう。(レポート課題提出に関する詳しいことについては、下の項目を参照のこと。)

授業内容

(更新日:2009.06.26)
第1回 2007.10.02.
説明する内容 授業の進め方についての説明
文法と文の構造
予習課題の件名 ling01-姓名
次回の授業のための予習課題 次の文は少なくとも2通りの解釈の仕方がある。どのような解釈の違いがあるか考えなさい。
 (1) ジョンは来ると思っている。
第2回 2007.10.16.
説明する内容 述語と項の関係
予習課題の件名 ling02-姓名
次回の授業のための予習課題 前回の予習課題の(1)の文と同じように解釈が2通り(以上)ある例文をあげなさい。
第3回 2007.10.23.
説明する内容 単文と複文
予習課題の件名 ling03-姓名
次回の授業のための予習課題 名詞に対する修飾表現を含む(なるべく異なったパターンの)例文を3つ書きなさい。
第4回 2007.10.30.
説明する内容 修飾関係
予習課題の件名 ling04-姓名
次回の授業のための予習課題 「〜ハ」という表現を含む(なるべく異なったパターンの)例文を3つ書きなさい。
第5回 2007.11.06.
説明する内容 主題と述部の関係
予習課題の件名 ling05-姓名
次回の授業のための予習課題 次の副詞表現を使った例文をそれぞれ1つずつ書きなさい。
 (1) おそらく  (2) ゆっくりと  (3) やっぱり  (4) せめて  (5) 少しずつ
第6回 2007.11.20.
説明する内容 さまざまな副詞表現
予習課題の件名 ling06-姓名
次回の授業のための予習課題 文中に「誰」「何」などの疑問語を含んでいるにもかかわらず、文全体は疑問文でないような例を3つあげなさい。
第7回 2007.11.27.
説明する内容 スコープ
予習課題の件名 ling07-姓名
次回の授業のための予習課題 次の文には、どのような解釈があるか、説明しなさい。
 (1) 2人の男の子が3人の女の子をパーティに招待した。
第8回 2007.12.04.
説明する内容 QR(Quantifier Raising:量化詞繰上げ)
予習課題の件名 ling08-姓名
次回の授業のための予習課題 次の文には、どのような解釈があるか、説明しなさい。
 (1) トヨタだけが、そこの子会社を 連盟に 推薦した。
第9回 2007.12.11.
説明する内容 連動読み  <レポート課題提示>
予習課題の件名 ling09-姓名
授業評価-姓名
次回の授業のための予習課題
  • 次の文には、どのような解釈があるか、説明しなさい。
     (1) 3人の女の子を2人の男の子がパーティに招待した。
  • 授業評価
  • 第10回 2007.12.18.
    説明する内容 (集中講義のため休講)
    予習課題の件名
    次回の授業のための予習課題
    第11回 2008.01.08.
    説明する内容 (集中講義のため休講)
    予習課題の件名
    次回の授業のための予習課題
    第12回 2008.01.15.
    説明する内容 かきまぜ構文
    予習課題の件名
    次回の授業のための予習課題

    参考書

    授業のバックグラウンド的な内容のもの
    • 上山あゆみ (1991) 『はじめての人の言語学 〜ことばの世界へ』 くろしお出版。 \2300。
    • 庵 功雄 (2001) 『新しい日本語学入門 〜ことばのしくみを考える』 スリーエーネットワーク。 \1800。
    授業よりも進んだ内容のもの
    • 郡司隆男 (2002) 『単語と文の構造』 現代言語学入門3、岩波書店。\3200
    • 北川善久・上山あゆみ (2004) 『生成文法の考え方』 研究社。\2800

    単位の認定と提出物について

    • 学期末試験は課さない。
    • 単位は、予習課題・復習テスト・レポート等の提出物に基づいて判定する。
    • 課題の提出状況とその時点での暫定的な予想評点を表にして公開するので、気になる人は、授業終了時に参照して対策を相談してほしい。

    予習課題について

     予習課題は、指定された特徴を持つ例文を考え、その構造について考察するというものが多い。例文は自分の頭で考えても、何か資料から集めても、どちらでもかまわない。例がワンパターンだと、構造についてのヒントも見つかりにくくなるので、いろいろ工夫してみてほしい。提出されたものを授業の材料の一部として用いる。
    <締め切り>
    予習課題は、当該授業の前日(月曜日)の14:00までに必着とする。
    (ただし、授業のハンドアウトに用いるのは、原則的に前々日(日曜日)の15:00ごろまでに届いたものだけとする。)
    <提出方法>
  • 予習課題の提出は e-mail で。宛て先は、授業中に指示する。
  • メールのSubject(件名):「ling##-姓名(専攻)」
    たとえば、第2回の授業のための予習課題を言語学専攻の田中大輝くんが提出する場合の件名は、「ling02-田中大輝(言語)
  • <書き方>
  • メール本文の冒頭に、専攻・学年・氏名を書くこと。
  • 出典がある場合には、その出典を必ず明記すること。
  • <添付ファイル>
    添付ファイルによる予習課題の提出も一応受け付けるが、テキストだけの内容の場合は、なるべくe-mailの本文に直接書いてもらった方がありがたい。
    何らかの理由でファイルを添付する場合には、そのファイル名もメールの件名と同じく、「ling##-姓名(専攻)」というふうにすること。
    <確認>
    メールがこちらに到着したら「受け取りました」というメールが自動返信されるはずなので、それが来ない場合には、宛て先etc.が正しいかどうかをチェックして再度送信すること。(ただし、最近スパムメールの影響か何かで自動返信メールが届かないことがよくあるので、宛て先に間違いがなければ、もうそれで安心してもらってかまわない。)
    <評価>
    予習課題は、(i) (締め切りまでに)提出されたかどうかと (ii) 内容の出来(A:特別に良い/B:普通にちゃんと出来ている/C:提出はされているが内容がともなっていない) の両方を評価する。

    レポート課題について

    <提出方法>
    レポート課題の提出は、予習課題とは別の e-mail で。提出先は予習課題と同じ。
  • メールのSubject(件名):「report-姓名(専攻)」
    たとえば、言語学の田中大輝くんがレポート課題を提出する場合の件名は「report-田中大輝(言語)
  • <書き方>
  • メール本文の冒頭に、専攻・学年・氏名を書くこと。
  • 出典がある場合には、その出典を必ず明記すること。
  • <添付ファイル>
    レポート課題は、原則として添付ファイルで提出すること。
    ファイル名もメールの件名と同様に、「report-姓名(専攻)」とする。
    <確認>
    メールがこちらに到着したら「受け取りました」というメールが自動返信されるはずなので、それが来ない場合には、宛て先etc.が正しいかどうかをチェックして再度送信すること。(ただし、最近スパムメールの影響か何かで自動返信メールが届かないことがよくあるので、宛て先に間違いがなければ、もうそれで安心してもらってかまわない。)
    <コメント>
    レポート課題には、原則としてコメントを返送する。コメントはメール本文に書く場合もあれば、添付ファイルに書き込む場合もある。上山のコメントの入ったファイルは、オリジナルと区別するために、ファイル名の最後に「-au」と記されている。たとえば、「report-田中大輝(言語)」というファイルにコメントが加えられると、「report-田中大輝(言語)-au」というファイル名で返送される。
    <レポートの修正>
    レポート課題が主旨を取り違えている場合はもちろん、内容をよりよいものにするために、平均して3回程度、内容の改訂を求める。コメントに従って、レポートを修正してもらう。やり直したレポートを提出する場合には、ファイル名に提出回数を含めること。たとえば、初めて提出した場合のファイル名が「report-田中大輝(言語)」ならば、2回目に提出する時のファイル名は「report-田中大輝(言語)-2」となる。
    <締め切り>
    レポート課題の第1稿の締め切りは1月16日、最終版の提出の締め切りは2月10日とする。
    <評価>
    レポート課題は、最終版の出来によってA+ 〜 C の評価をする。