2007 首都大学東京・集中講義(哲学特殊講義:都市教養学部 現代哲学研究第一:大学院人文科学研究科)

■ 教室 6号館402教室

■ 講義題目 生成文法の視点から見た現代言語学入門

■ 授業目的
  • 特に生成文法を中心として理論言語学の考え方を紹介し、言語哲学との接点/共通点/相違点などを考察するための基盤形成を目標とする。分析対象としては、主に日本語を取り上げる。自分の普段使っている言語を観察し、混沌の中から法則性を見つけていくという作業にふれてほしい。
■ 授業の進め方について
  • 授業は、基本的には講義形式であるが、少し練習問題のようなものを混ぜてある。ぜひ、自分で取り組んでみてほしい。
  • 講義中、いつでも質問をしてもらってかまわない。
  • また、その日の講義終了後にメールで質問を送ってもらってもかまわない。宛て先は ueyama[@]lit.kyushu-u.ac.jp (← @ の前後の [ ] を取り除いたものがメールアドレス)。
■ 単位の認定について
  • 授業への参加状況と、授業中に行なう「練習問題」および宿題としての「課題」の提出物に基づいて判定する。

授業内容

(更新日:2009.06.26)
第1回 2007.9.18.
テーマ 1. 生成文法の言語観
 1.1. ことばに関する直観
 1.2. 人間の言語習得
 1.3. 私たちはどのようにして言語の知識を獲得したのか
2. 生成文法の統語論と意味論
 2.1. 生成文法のモデル
 2.2. 情報としての「意味」
 2.3. 文のLFと「意味」
問題(授業中) <授業の最後までに>
授業中、質問しそびれたことや、感想 etc. を書く。
課題(宿題) 第1章の部分を読んで、(i) 納得したこと/なるほどと思ったこと、(ii) よくわからなかったこと/おかしいと思ったこと、を書きなさい。
第2回 2007.9.19.
テーマ 3. Mergeと概念の合成
 3.1. 感覚の観察
 3.2. 仮説形成(abduction)1:Computational System
 3.3. 仮説形成(abduction)2:Semantics
4. 生成文法の言語観と言語使用のモデル
 4.1. LexiconとConcepts
 4.2. Information Database, Working Memory, Inference
 4.3. individualとCharacters list
 4.4. Parserとnumeration
問題(授業中) <授業の最後までに>
授業中、質問しそびれたことや、感想 etc. を書く。
課題(宿題) 4.4節で説明した手順を次の文に適用した場合、どのような可能性が出てくるか、すべて示しなさい。
  かわいい リボンを つけた 犬を 抱いた 女の子が立っている。
第3回 2007.9.20.
テーマ 5. Coreference
 5.1. 現象の観察
 5.2. generalizationを考える
 5.3. 分析を考える
 5.4. 残る問題
6. 生成文法の説明対象とデータの信頼性にまつわる問題
 6.1. 生成文法の研究対象とモデルの全体像
 6.2. 文法性/容認性判断とは
 6.3. 容認性判断と仮説の妥当性
問題(授業中) <授業の冒頭で>
昨日の宿題の解説。それから5章冒頭の「問題演習」をやってもらう。
<5.2.1節で>
確認の復習問題をやってもらう。
課題(宿題) 次のそれぞれの構文で、どんな例文を作れば、授業中に説明した generalization 3 の検証ができるか、実際に例文を作って示しなさい。
  Aが BのCに Dが Eを なぐったと 言った
  Aが BのCに Dを 紹介した
第4回 2007.9.21.
テーマ 7. 連動読み
 7.1. ソ系列指示詞
 7.2. Quantifier Raising (QR)
 7.3. λ-operator
 7.4. 連動読みの仕組み
 7.5. 操作と規則のまとめ
 7.6. QRした句の解釈
 7.7. 残る問題
問題(授業中) <授業の最後までに>
授業中、質問しそびれたことや、感想 etc. を書く。
課題(宿題)  (197)のhypothesisの妥当性を確認するための*Condition, okCondition, *Schema, okSchema, *Example, okExampleを書きなさい。