2006 前期(学部生向け)言語学・応用言語学演習 VII

ここに連絡事項を掲載することがありますので、受講者はときどきチェックするようにしてください。
2006.7.6.
 火曜日中にすると言っておきながら、遅くなってしまって、ごめんなさい! 授業評価をよろしくお願いします。ここに指定されている項目名をマウスでなぞってコピーして、メールで送ってください。

講義題目

 受身の形態論・統語論・意味論

授業目的

 この授業では、入門的な講義とは少し違った切り口から、言語学の研究というものを体験してほしいと思っている。卒論などでは、単に、書かれていることを理解するのではなく、自分で考察を進め分析をしていく能力が求められる。ただ、いきなり「自分なりの分析をまとめて主張する」と言われても、どこから手をつけていいか、迷ってしまうに違いない。この授業では、仮に「受身」というテーマを定めて、研究を進めていく疑似体験をすることを目標としている。
 「受身」については、ある程度簡単にわかる範囲までは研究が進んでしまっており、それを越えるのが難しい段階に来ている。したがって、このテーマは、実際の卒論では扱いにくいものの1つである。だからこそ、実際の卒論のテーマと重複する心配がないので、これをテーマとして設定している面もある。実際に取り組んでみて、1つのテーマについて追究する楽しさと難しさを体験してみてほしい。

授業の進め方

  • 授業の前に、各自、予習課題に取り組んでもらい、前日までにメールで提出してもらう。(詳しいことは、下の説明を参照すること。)
  • 授業の開始時に、前回までの授業内容とその日の予習課題に関する簡単な復習テストを行う。これは、出欠確認を兼ねており、細かい得点化はしないが、よっぽど出来の悪いものは区別したいと思っている。
  • 授業は、第5回までが基本的に講義が中心で、第6回以降は、学生による発表が中心となる。
  • 授業内容の一覧は、下の表に示している通り。
  • 予習課題とは別に、いくつか応用課題を出題する。応用課題は、各自の興味にしたがって、最低1つ選択して提出すること。(発表を担当した人は、応用課題1回分と同等に評価する。)

授業内容

(更新日:2009.06.26)
第1回 2006.04.18.
内容 授業の目的と方法の説明、論文を書くための Word 利用法(1〜5章)
参考文献 上山あゆみ 『論文を書くための Word 利用法』原稿
課題 [課題-1]:『論文を書くための Word 利用法』pp.1-20 にしたがって、自分のコンピュータを設定する。(必須なのは、sections 3.1, 3.2, 4.3)
第2回 2006.04.25.
内容 論文を書くための Word 利用法(5章)
参考文献 上山あゆみ 『論文を書くための Word 利用法』原稿
課題 [予習-2]:『論文を書くための Word 利用法』pp.1-30 を読んで、質問や、書き方としてわかりにくかった点を書く。
第3回 2006.05.09.
内容 論文を書くための Word 利用法(5〜7章)
参考文献 上山あゆみ 『論文を書くための Word 利用法』原稿
課題 [予習-3]:『論文を書くための Word 利用法』pp.31-64 を読んで、質問や、書き方としてわかりにくかった点を書く。
第4回 2006.05.16.
内容 受身の形態論
参考文献 上山あゆみ 『はじめての人の言語学』 くろしお出版。 第2章 (pp.27-60)
課題 [予習-4]:いわゆる標準的な日本語で、「受身形」の例を5個以上あげなさい。受身でない形とペアにして示すこと。
第5回 2006.05.23.
内容 方言研究
参考文献 小林隆/篠崎晃一 編 『ガイドブック方言研究』 ひつじ書房。 第5章 (pp.91-112)
課題 [予習-5]:自分が「予習-4」であげた例をローマ字書きにして、形態素に区切りなさい。
[応用-5]:自分のよく知っている方言のいろいろな動詞について「命令形」の活用を調べ、整理しなさい。
第6回 2006.05.30.
内容 受身の語用論
参考文献 森田良行 『日本語の視点』(創拓社)より、pp.128-168.
課題 [予習-6]:今回取り上げる論文に目を通し、質問・コメントを書きなさい。
[応用-6]:今回取り上げた論文の内容があとから見ても具体的によくわかるようにまとめて、Word 文書で提出しなさい。
第7回 2006.06.06.
内容 受身の意味論
参考文献 ・杉本武 「ニ格をとる自動詞---準他動詞と受動詞---」、仁田編『日本語のヴォイスと他動性』(くろしお出版)、pp.233-250.
・ウェスリー・M・ヤコブセン 「他動性とプロトタイプ論」、久野・柴谷編『日本語学の新展開』くろしお出版、pp.213-248.
課題 [予習-7]:今回取り上げる論文に目を通し、質問・コメントを書きなさい。
[応用-7]:今回取り上げた論文の内容があとから見ても具体的によくわかるようにまとめて、Word 文書で提出しなさい。
第8回 2006.06.13.
内容 受身の統語論1
参考文献 野田尚史 「文法的なヴォイスと語彙的なヴォイスの関係」、仁田編『日本語のヴォイスと他動性』(くろしお出版)、pp.211-232.
課題 [予習-8]:今回取り上げる論文に目を通し、質問・コメントを書きなさい。
[応用-8]:今回取り上げた論文の内容があとから見ても具体的によくわかるようにまとめて、Word 文書で提出しなさい。
第9回 2006.06.20.
内容 受身の統語論2
参考文献 寺村秀夫 『日本語のシンタクスと意味 I 』 くろしお出版。第3章1節 (pp.212-254)
課題 [予習-9]:今回取り上げる論文に目を通し、質問・コメントを書きなさい。
[応用-9]:今回取り上げた論文の内容があとから見ても具体的によくわかるようにまとめて、Word 文書で提出しなさい。
第10回 2006.06.27.
内容 受身の統語論3
参考文献 久野ワ 『新日本文法研究』(大修館書店)第12章 (pp.192-219)
課題 [予習-10]:今回取り上げる論文に目を通し、質問・コメントを書きなさい。
[応用-10]:今回取り上げた論文の内容があとから見ても具体的によくわかるようにまとめて、Word 文書で提出しなさい。
第11回 2006.07.04.
内容 受身の統語論4
参考文献 Hoshi, Hiroto "Passives," in N. Tsujimura (ed.) The Handbook of Japanese Linguistics (Blackwell), pp.191-235.
課題 [予習-11]:今回取り上げる論文に目を通し、質問・コメントを書きなさい。
[応用-11]:今回取り上げた論文の内容があとから見ても具体的によくわかるようにまとめて、Word 文書で提出しなさい。
第12回 2006.07.11.
内容 まとめ
課題 [予習-12]:授業全体を振り返り、感想・コメントを書きなさい。(形式は、ここに指定してあります。)

予習課題について

  • 予習課題は、当該授業の前日(つまり月曜日)の17:00までに必着とする。
  • 予習課題の提出は e-mail でhomework[@]gges.xyz (← @ の前後の [ ] を取り除いたものがメールアドレス)宛てに送ることとする。
  • メールのSubject(件名):「予習##-名前」
    たとえば、[予習4] の課題を田中大輝くんが提出する場合の件名は、「予習4-田中大輝
  • メール本文の冒頭に、学年・氏名を書くこと。課題のあとに、授業の感想・質問・自己紹介・メッセージなども自由に記載してもらってかまわない。
  • 出典がある場合には、その出典を必ず明記すること。
  • メールがこちらに到着したら「受け取りました」というメールが自動返信されるはずなので、それが来ない場合には、宛て先etc.が正しいかどうかをチェックして再度送信すること。
  • 予習課題は、(i) (締め切りまでに)提出されたかどうかと (ii) 内容の出来(A:特別に良い/B:普通にちゃんと出来ている/C:提出はされているが内容がともなっていない) の両方を評価する。

応用課題について

  • 応用課題の締め切りは、原則的に、当該授業の1ヶ月後まで、とする。
  • 応用課題は、なるべく添付ファイルで、homework[@]gges.xyz (← @ の前後の [ ] を取り除いたものがメールアドレス)宛てに送ってほしい。
  • メールのSubject(件名):「応用##-名前」
    たとえば、[応用7] の課題を田中大輝くんが提出する場合の件名は、「応用7-田中大輝」。添付ファイルのファイル名も同様に、「応用7-田中大輝」とすること。
  • メール本文の冒頭と、添付ファイルの中身の冒頭に、学年・氏名を書くこと。課題のあとに、授業の感想・質問・自己紹介・メッセージなども自由に記載してもらってかまわない。
  • 出典がある場合には、その出典を必ず明記すること。
  • メールがこちらに到着したら「受け取りました」というメールが自動返信されるはずなので、それが来ない場合には、宛て先etc.が正しいかどうかをチェックして再度送信すること。
  • 応用課題は、出来によって、A+ 〜 C の評価をする。

単位の認定と評点について

  • 学期末試験は課さない。
  • 単位は、各種課題と授業の参加状況に基づいて判定する。目安としては、予習課題をすべてと応用課題/発表1つ、そして出席があれば単位はあると思ってよい。出席が足りない人は、応用課題をもう1つ追加すること。
  • 課題の提出状況とその時点での暫定的な予想評点を表にして公開するので、気になる人は、授業終了時に参照して対策を相談してほしい。