2003 前期(学部生向け)言語学・応用言語学講義

2003.7.7.
 前期終了まで残り少なくなってきましたね。そろそろ成績や評価のことを考える時期になってきました。例年のことですが、単位の必要のない人、もしくは「何点以下なら要らない」という人は、上山まで e-mail で連絡してください。
2003.5.5.
 予習課題は Word ファイルを添付してもらってもかまわないのですが、どうしても似たファイル名が多くなってしまって取り違えが起こる可能性があるので、テキストだけの内容の場合は、なるべくメール本文に貼り付けてもらえるとありがたいです。添付にする場合には、ファイル名を「予習No.##-名前」というふうにしてください。
2003.5.5.
 同様に、提出してもらう授業ノートもファイル名に代表者の名前を入れておいてもらった方が安全ですね。ファイル名は「ノートNo.##-代表者の名前」というふうにしましょうか。
2003.4.25.
 予習課題では、出典を必ず明記するように注意してください。つまり、どういう本の何ページからの引用なのか、どこからどこまでを自分なりにまとめたものなのか、きちんと書くくせをつけましょう。

■ 講義題目:生成文法の変遷と発展

■ 授業目的

 レベルとしては、学部生用の授業と院生用の授業の中間ぐらいの位置づけだと思ってください。2002年度前期・後期の授業は、いわば「自分で考えてみよう」というスタイルでしたが、この授業は「生成文法において、先人がどのような根拠で何を主張してきたのか理解しよう」という目標を掲げています。そのため、扱う情報量や覚えてほしい用語の数が多くなります。

 1950年代に誕生して以来、生成文法理論は何度か大きなモデルチェンジを経てきています。その結果、現在では、以前の理論とはすっかり変わってしまったように見えますが、その変遷を追って見ていくと、言い方は変わっていても考え方は不変である場合もあれば、とらえ方そのものが変わってしまった場合とがあることがわかってきます。この講義では、トピックごとにいろいろなモデルを比較検討することによって、生成文法の考え方を明らかにしていきたいと思っています。

 これまでの理論の成果を追っていくため、扱う現象はどうしても英語が多くなりますが、なるべく、日本語の研究を発展させていくための視点を意識して進めていきたいと思っています。


■ 授業の進め方について
  • 授業の開始時に、前回までの授業内容に関する簡単な復習テストを行う。これは、出欠確認を兼ねており、細かい得点化はしないが、よっぽど出来の悪いものは区別したいと思っている。
  • 授業は講義が中心となる。授業時に渡すハンドアウトは板書の時間を節約するための、ごく補助的なものなので、各自、工夫してノートをとってほしい。次の回の授業時に、担当者が提出した前回の講義ノートを全員に配布する。
  • 授業内容の一覧は、下の表に示している通り。
  • 複数回の授業内容に基づく応用課題を出題する場合もある。
■ 予習課題について
  • 次回の授業内容の理解が楽になるように、予習課題を出題する。単位を取ろうと思っている人は、予習課題はすべて提出すること。
  • 予習課題は、(原則的に)指定されたキーワードの意味/内容を説明するというもので、適切な参考書を調べればわかるはずの課題である。膨大なレポートを期待しているわけではないので、簡潔にポイントを書くように努めること。
  • 出典を必ず明記すること。つまり、どういう本の何ページからの引用なのか、どこからどこまでを自分なりにまとめたものなのかが示されていなければならない。
  • 予習課題の提出は e-mail によるものとする。
  • 予習課題の内容は、文書を添付してもかまわないが、テキストだけの内容の場合は、なるべく e-mail の本文に直接書いてもらった方がありがたい。文書を添付する場合には、そのファイル名を「予習No.##-名前」というふうにすること。
  • e-mail の宛て先は、homework[@]gges.xyz (← @ の前後の [ ] を取り除いたものがメールアドレス)。
  • 予習課題の Subject(件名)は、「予習課題 No.##」とし、本文の冒頭に、専攻・学年・氏名を書くこと。課題のあとに、授業の感想・質問・自己紹介・メッセージなども自由に記載してもらってかまわない。
  • 予習課題は、当該授業の前日の17:00までに必着とする。
  • メールがこちらに到着したら「受け取りました」というメールが自動返信されるはずなので、それが来ない場合には、宛て先etc.が正しいかどうかをチェックして再度送信すること。
  • 予習課題は、(i) (締め切りまでに)提出されたかどうかと (ii) 内容の出来(A:特別に良い/B:普通にちゃんと出来ている/C:提出はされているが内容がともなっていない) の両方を評価する。
■ 講義ノートについて
  • あらかじめ、授業ごとの担当者(複数)を決めておくので、その日の講義内容に基づいて、協力して講義ノートを作成してもらう。作業の分担方法については、担当者で相談して決めること。全員で1つのノートを作成することにしても、何グループかに分かれて(もしくは個人個人で)複数のノートを提出してもらってもかまわない。その中で最も気に入ったものを1つだけ、クラス全員に配布する。
  • 上山が授業で用いたハンドアウトの Word ファイルは(何らかの方法で)担当者に渡すので、ハンドアウトの内容をタイプし直す必要はない。ハンドアウトに書いていないことをどれだけ正確に、かつ、わかりやすく提示するかという点に気を配ってほしい。授業中に直接説明がなかった語句/用語などでも、参考書で調べた結果を書き足してもらってかまわない。
  • 提出する講義ノートは Word で作成し、A4サイズの紙を縦に使った形で印刷できるようにすること。自分のファイルに私の例文を写すのではなく、私の作ったハンドアウトのファイルに補足説明を書き込んでいくようにすること。(少しでも、全員のフォーマットを揃えるため。)
  • 授業で説明をとばした例文も省略/削除しないで、そのまま載せておくこと。
  • (授業内容とは何らかの方法で区別して)自分が疑問に思った点・気になったこと等も書き入れてもらってかまわない。
  • 書き方に関して不明な点があれば、院生に相談するか、上山までメールで問い合わせること。
  • 作成したノートは e-mail で提出すること。e-mail の本文に、その作成に関わった担当者全員の名前・専攻・学年を書いておくこと。作成したノートの本文の中には、名前を書かない。ただし、ノートのファイル名は、「ノートNo.##-代表者の名前」とする。
  • 提出期限は次回の授業の前日 17:00 まで。
  • 講義ノートは、その出来によってA+ 〜 C の評価をする。
  • 提出されたノートは、採用されてクラスにで布されたものも、採用されなかったものも全て、電子的な形で閲覧できるようにしておく。その具体的な方法については、授業中に説明する。
■ 単位の認定について
  • 学期末レポートや学期末試験は課さない。単位は (i) 予習課題、(ii) 復習テスト、(iii) 授業ノート、(iv) 応用課題 に基づいて判定する。
  • 単位を取得するためには、講義ノートを最低1回は提出することが必須条件となる。2回以上担当するのは自由。TA の人が持っている表の希望する回のところに名前を記入すること。
  • 各課題の素点はまだ未定であるが、予習課題や復習テストで提出していないものがある場合には、何らかの形で補わないと、合格点に達しない場合があると思っておいてほしい。

授業内容

(更新日:2009.06.26)
第1回 2003.04.22.
題目 1. 生成文法の目的
キーワード 人間の言語習得の特性、言語生得説、生成文法における「文法」というものの概念、句構造規則、θ役割、格
第2回 2003.05.06.
題目 2. 文構造生成の仕組みの変遷 (I)
予習課題 No.2 (i) θ規準、(ii) 格フィルターとは、それぞれどのようなものか述べなさい。
キーワード Aux/INFL、Affix Hopping、COMP、θ規準、完全解釈の原理、格フィルター
第3回 2003.05.13.
題目 2. 文構造生成の仕組みの変遷 (II)
予習課題 No.3 DP仮説(DP分析)とは、どのようなものか述べなさい。
キーワード ]バー理論、機能範疇、IP、CP、DP、Merge、Numeration
第4回 2003.05.20.
題目 3. 生成文法モデルの変遷 (I)
予習課題 No.4 生成意味論とは、どのようなものか述べなさい。
キーワード 構造言語学、標準理論、生成意味論、拡大標準理論
第5回 2003.05.27
題目 3. 生成文法モデルの変遷 (II)
予習課題 No.5 (i) Nominative Island Condition、(ii) Tensed S Condition、(iii) Specified Subject Condition とは、それぞれどのようなものか述べなさい。
キーワード 修正拡大標準理論、GB理論、ミニマリストプログラム
第6回 2003.06.03.
題目 4. 束縛理論の変遷
予習課題 No.6 disjoint reference とはどういうことか述べなさい。
キーワード 束縛条件 A、束縛条件 B、anaphor、pronoun、R-expression、Nominative Island Condition、Tensed S Condition、Specified Subject Condition、Accessible SUBJECT、BT-compatibility、(束縛条件 C、coreference、bound variable anaphora)
第7回 2003.06.10.
題目 5. 移動について(I)〜ECP and Subjacency
予習課題 No.7 (i) Empty Category Principle、(ii) subjacency condition とは、それぞれどのようなものか述べなさい。
キーワード 移動と痕跡、空範疇原理、境界理論
第8回 2003.06.17.
題目 5. 移動について(II)〜Minimalist Program
予習課題 No.8 AGRoP とは、どのようなものか述べなさい。
キーワード Barriers、Relativized Minimality、ミニマリスト理論における移動の理論
第9回 2003.07.01.
題目 5. 移動について(III)〜その他
予習課題 No.9 parasitic gap とは、どのようなものか述べなさい。
キーワード AGRoP、Equidistance、checking、寄生空所、connectedness
第10回 2003.07.08.
題目 6. LF
予習課題 No.10 Quantifier raising とは、どのようなものか述べなさい。
キーワード QR, LF wh-movement, D-linking, Antecedent-Contained Deletion
第11回 2003.07.15.
題目 7. 主語というものの位置づけの変遷
8. 科学としての言語学
予習課題 No.11 Extended Projection Principle とは、どのようなものか述べなさい。

そして、この「予習課題No.11」↑とは別のメールで、授業評価を e-mail で提出すること。
キーワード 'subject', Case, agreement, feature checking, EPP