2003 後期(学部生向け)言語学・応用言語学演習

ここに連絡事項を掲載することがありますので、受講者はときどきチェックするようにしてください。
2004.2.3.
 提出物(abstract 及びレポート)の最終バージョンは、2月10日を一応の締め切りとします。がんばってください。
2004.2.3.
 ごめんなさい。授業評価のフォームが必ずしも適切ではありませんでしたね。すでに提出してくれた人には、ご迷惑をかけましたが、直しておきました。(もちろん、提出しなおしてもらう必要はありません。指摘してくださった方々に感謝します。)
2004.2.1.
 文学部全体で行っているものとは別に、上山用の授業評価のフォームを用意しました。二度手間になって申し訳ありませんが、この授業に参加していた人はメールで提出してください。指定以外の項目を自由に作ってくれてもかまいません。よろしくお願いします。

■ 講義題目:日本語の指示詞の研究

■ 授業目的

 指示詞については、日本語の文法でも英語の文法でも、それほど多くは習いません。でも、そのことと、文法研究における重要性とは別のものです。指示詞というものは、ある意味で、ことばと世界とをつなぐ働きをするものであり、西洋哲学においてもいろいろな考察が行われてきました。また、それとはまったく独立に、国語学の分野でも、コ・ソ・アの使い分けについて、非常に深い洞察がされてきていますが、言語学において、その成果があまり知られていないことが多いのは非常に残念なことだと思っています。下の教科書は、日本における指示詞の研究で重要なものを集めて収めている本です。この授業では、この本の論文を順に取り上げ、生成文法の観点からそれらをとらえなおしたいと思います。

 この授業は、現象として扱う範囲はあまり広くありません。最終的に専門的なレベルに到達するという意味では専門的な授業ということになると思いますが、初めの段階では、言語学の予備知識はあまり必要としていません。日本語の指示詞(日本語ならばコ・ソ・ア)の使い分けのできる人で、その使い分けに興味を持っている人ならば誰でも受講してもらってかまいません。特にこの授業では、古い日本語における指示詞の問題も取り上げたいので、国語学が専門の学生さんにも参加してもらえるとありがたいです。

■ 授業の進め方について
  • 授業内容の一覧は、下の表に示している通り。
  • あらかじめ、論文ごとの担当者(受講者が多ければ複数)を決めておく。担当者は前もって教官と連絡をとり、ハンドアウトを作成すること。
  • 担当者は20〜30分で論文の内容をまとめて発表する。その論文とそれまでに読んだ論文の相違点等を全員で議論し、理解を深めていく。
■ 教科書
  • 金水敏・田窪行則編(1992)『指示詞』ひつじ書房。
  • 教科書に含まれていない論文については、授業でコピーを配布します。
  • 教科書そのものが購入不可能な場合がありえますが、その場合には言語学研究室にマスターコピーを置いておきますので、各自、コピーしてください。
■ 単位の認定と提出物について
  • 学期末試験は課さない。単位は、担当論文の発表と提出物、そして平素の授業における議論への参加に基づいて判定する。
  • 提出物には、(i) 以下に指定された論文の abstract, (ii) 指示詞に関して複数のアプローチを比較したレポート の2種類がある。最低1つを完成させて提出することが単位取得にあたっての条件となる。
  • 提出物は、なるべく e-mail を使ってほしい。宛て先は homework[@]gges.xyz (← @ の前後の [ ] を取り除いたものがメールアドレス)。メールの件名は以下に指定した通りにすること。
■ 宿題について
  • 授業中、適切な課題があれば、宿題とする場合がある。
  • 期限は、特に指定がない限り、その次の授業の前日の 17:00 まで。
  • メールで、homework[@]gges.xyz (← @ の前後の [ ] を取り除いたものがメールアドレス) 宛てに送ること。
  • メールの件名: 宿題 No.#
     (例) 宿題 No.3 (第3回の授業で出された宿題の場合)
  • ファイルを添付する場合のファイル名: [自分の姓]-HW-[宿題の番号]
     (例) Tanaka-HW-3 (田中くんが第3回の授業で出された宿題を提出する場合)
■ abstract について
  • abstract は A4版1枚におさまるようにまとめること。→A4版2枚でもかまわない。
  • 第1回の提出期限は、それぞれ下に指定されている授業の前日の 17:00。改訂版の提出期限については、レポートの締め切りと同じとする。
  • abstract の書き方については授業中にも説明する。必ずしも、すべてのポイントを盛り込む必要はない。限られた紙幅でその論文の良さを最もアピールする書き方を目指すこと。
  • メールの件名: [作者名] の abstract
     (例) 久野の abstract
  • ファイルを添付する場合のファイル名: [自分の姓]-[作者名]-[abstract の提出回数]
     (例) Tanaka-Kuno-2
       ... 田中くんが久野の論文の abstract を書き直して2回目に提出する場合
■ レポートについて
  • レポートは、基本的には授業で扱う範囲の論文から選んでほしいと思っているが、他の論文、もしくは、自分の考えと比較してもらってもかまわない。ただし、授業でとりあげた論文の中から少なくとも1つは取り上げること。
  • 内容重視なので、特に量の制限はないが、たとえばA4・5枚程度のものをイメージしている。
  • レポートの構想を練っている段階で一度提出してもらい、こちらからのコメントにしたがって完成したものを最終的に提出してもらう。その間、何回提出してもらってもかまわない。少なくとも年内にレポートの方向性/構想について提出すること。最終的な提出の期限は決まり次第、連絡する。
  • メールの件名:レポート
  • ファイルを添付する場合のファイル名: [自分の姓]-report-[提出回数]
     (例) Tanaka-report-1
       ... 田中くんが初めてレポートを提出する場合

授業内容

(更新日:2009.06.26)
第1回 2003.10.07.
説明する内容 授業の進め方についての説明と担当者の決定
第2回 2003.10.14.
説明する内容 [1] Hoji, Hajime, Satoshi Kinsui, Yukinori Takubo, & Ayumi Ueyama (2003) "Demonstratives in Modern Japanese," in A. Li & A. Simpson, eds., Functional Structure(s), Form and Interpretation, pp.97-128, Routledge. の前半部分(section 3 まで)
第3回 2003.10.21.
説明する内容 上記 [1] HKTU 論文の後半部分(section 4 から;ただし Appendix はのぞく)
abstract(選択) [1] の論文の特に後半の主張についての abstract 第1次提出期限は、第5回の授業前日の 17:00 まで
宿題 [No.3] 10メートル離れたところに立っている人を指して「この人は〜です」と言うことができると思う状況はどんなものですか。自分なりの考えで記述しなさい。(参考:[1] の論文の (37)-(38) のあたり)
第4回 2003.10.28.
説明する内容 (i) [2] 金水・岡崎・曹 (2002) 「指示詞の歴史的/対象言語学的研究−日本語・韓国語・トルコ語」生越他編『対照言語学』東京大学出版, pp.217-247. より、日本語の歴史の部分 (pp.228-235)
(ii) [3] 古田東朔「コソアド研究の流れ」<古典語あり>
第5回 2003.11.18.
説明する内容 (i) [4] 佐久間鼎「指示の場と指す語」
(ii) [5] 三上章「コソアド抄」
第6回 2003.11.25.
説明する内容 (i) [6] 高橋太郎「「場面」と「場」」
(ii) [7] 服部四郎「コレ・ソレ・アレとthis, that」
abstract(選択) (i) [6] の論文、(ii) [7] の論文 どちらについてでもかまわない。abstract 第1次提出期限は、第7回の授業前日の 17:00 まで
第7回 2003.12.02.
説明する内容 [8] 阪田雪子「指示語「コ・ソ・ア」の機能について」
第8回 2003.12.09.
説明する内容 (i) [9] 久野ワ「コ・ソ・ア」
(ii) [10] 堀口和吉「指示語の表現性」<古典語あり>
abstract(選択) (i) [9] の論文、(ii) [10] の論文 どちらについてでもかまわない。abstract 第1次提出期限は、第9回の授業前日の 17:00 まで
第9回 2004.01.13.
説明する内容 (i) [11] 黒田成幸「(コ)・ソ・アについて」
(ii) [1] HKTU 論文の Appendix
abstract(選択) [11] の論文についての abstract 第1次提出期限は、第10回の授業前日の 17:00 まで
第10回 2004.01.20.
説明する内容 [12] 吉本啓「日本語の指示詞コソアの体系」
第11回 2004.01.27.
説明する内容 [13] 金水敏・田窪行則「談話管理理論からみた日本語の指示詞」
第12回 2004.02.03.
説明する内容 [14] 金水敏・田窪行則「日本語指示詞研究史から/へ」