2002 (学部生向け)言語学・応用言語学講義 VII

 ほぼ全員から授業評価を提出してもらいました。いろいろ参考になる意見が多かったので、次の機会にはなるべくこれを生かす方向で工夫したいと思います。どうもありがとうございました。
 成績の基準点をほぼ次のように考えたいと思っています。
予習課題(全部で10回)
1回の提出につき一律5点
レポート課題
A+ . . . 18点
A . . . 16点
A- . . . 14点
B+ . . . 12点
B . . . 10点
B- . . . 8点
C . . . 6点
授業評価
結果的に、みんな丁寧に書いてくれていたので、提出した人は一律10点
上の基準でそれぞれの提出物の点数を足して、60点になれば単位取得ということになります。(予習課題を全部提出して、B 評価のレポートが1本あれば60点になるので、奇しくも(?)当初言っていた通りの基準ということになりました。)
 下の表では、そろそろすべてのレポート課題の締め切りですが、特別に全レポート7月末まで提出を認めます。もう少しがんばってみようと思う人は、やってみてください。

■ 授業の進め方について
  • この授業は、今後、統語論を研究するときに必要となる基礎的な知識の獲得を目的とする。
  • 「基礎的知識」といっても、流動的な面が多々あるので、結果よりも考え方を重視する。したがって、講義科目ではあるが、授業中にも適宜ディスカッションを行い、また、各自が例文などを集めてくる作業に参加することになる。
  • 授業内容と課題の一覧は、下の表に示している通り。(ただし、「未来」の予定/課題については、変更することがありうる。変更した場合には、授業で告知し、下の表も書き換える。)
■ 課題について
  • 課題の提出は、e-mail によるものとする。e-mail の宛て先は、office[@]gges.xyz (← @ の前後の [ ] を取り除いたものがメールアドレス)。e-mail の本文に直接書いてもいいし、文書を添付してもかまわない。(宛て先が上山個人用のアドレスになっているものやタイプミスのものが時々あります。注意してください。)
  • 課題には、原則的に全員が提出する「予習課題」と、各自が自分の興味にしたがって選択して提出する「レポート課題」とがある。

  • 予習課題は、当該授業の前日の17:00までに必着とする。
  • 予習課題の Subject(件名)は、「上山講義○月○日分予習課題」とし、本文の冒頭に、専攻・学年・氏名を書くこと。課題のあとに、授業の感想・質問・自己紹介・メッセージなども自由に記載してもらってかまわない。

  • レポート課題はそれぞれ下の表に示してある日を一応の締め切りとする(一度提出したレポート課題をやり直して提出する場合には、そのかぎりではない)。1回の授業に関連したレポート課題が複数指定されている場合もあるが、これは、それぞれ独立したものであり、片方だけの提出でもかまわない。
  • レポート課題は、予習課題とは別の e-mail で送ることとし、Subject(件名)は「上山講義レポート No.##」とすること。文書を添付する場合には、文書のファイル名に自分の名前とレポート番号をいれること(例:山田太郎さんがレポートNo.5 を提出する場合ならば「山田太郎レポート5」)。
■ 単位の認定について
  • 学期末レポートや学期末試験は課さない。単位は授業への参加と平素の提出物に基づいて判定する。
  • 単位認定の最低ラインの目安は、「予習課題11回(すべて)+レポート課題1回」と考えているが、もちろん、提出回数だけが問題なのではなく、内容によって評価は変わる。予習課題については、こちらの「ねらい」に合致している必要はないが、レポート課題は、授業内容を踏まえていることが前提となる。

授業内容

(更新日:2009.06.26)
第1回 2002.04.16.
説明する内容 授業の進め方についての説明
この授業の目標について(生成文法の目的・日本語統語論との関係について)
第2回 2002.04.23.
説明する内容 日本語における範疇の区別
予習課題(全員参加) (1) 日本語の形容詞の例を5つあげる。
(2) 日本語の形容動詞の例を5つあげる。
レポート課題(選択) No.1 日本語の範疇のリストを作成する。それぞれ定義と例を付す。 [5月上旬まで]
(補足説明:授業で口頭で言っただけだったので説明不足だったようですが、この課題の趣旨は、(名詞・動詞・形容詞・形容動詞だけでなく)日本語において必要な範疇をすべて挙げる、というところにあります。どんな語をとっても、その範疇が何であるか決定できるように、注意して定義を与えてください。既存の文法書に従った分類であれ、自分で考えた分類であれ、(i) 定義が一義的に解釈できるように書かれているか、(ii) すべての語が網羅されうるようになっているか、という点がポイントとなります。)

No.2 自分の詳しい方言で "標準語" と異なる活用があれば、それがどのようなパターンになっているか(わかりやすく例をあげながら)説明する。 [5月末日まで]
第3回 2002.05.07.
説明する内容 語の選択制限・イディオム・light verb
予習課題(全員参加) (1) 「最近、あの子は、どんどん{実力を伸ばしてきた/背が伸びてきた}」に対して「最近、あの子は、めきめき{実力を伸ばしてきた/???背が伸びてきた}」のように意味が通じてもよさそうなのに、普通は使われない表現の組み合わせを探す。
(2) 日本語の "イディオム" の例を探す。
レポート課題(選択) No.3 日本語の「イディオム」のタイプを分類し、例をあげる。 [5月末日まで]
第4回 2002.05.14.
説明する内容 述語と格助詞の関係
予習課題(全員参加) カッコ内に入りうる助詞を2つ答え、意味の違いについて考える。
(1) 山( )登る
(2) 医者( )相談する
(3) 彼は昨日スリ( )あっていた
レポート課題(選択) No.4 項の取り方によって述語を分類する。 [5月末日まで]
第5回 2002.05.21.
説明する内容 格助詞の交替現象
予習課題(全員参加) 英語ならば「目的語」に相当するのに、日本語では格助詞「が」が伴う例をあげる。
レポート課題(選択) No.5 日本語の自他対応のパターンをまとめる。 [5月末日まで]
第6回 2002.05.28.
説明する内容 埋め込み文のパターン・「と/という/こと/ところ」
予習課題(全員参加) 日本語で、文の中に文が埋め込まれている例をいろいろあげる。
レポート課題(選択) No.6 動詞と埋め込み文標識の共起可能性をまとめる。 [6月上旬まで]
第7回 2002.06.04.
説明する内容 「は」と「が」
主題(theme)の「は」と対照(contrast)の「は」/総記(exhaustive listing)の「が」/「は」が生起できる節とできない節
予習課題(全員参加) なるべくいろいろなパターンで、「〜は」という句を含んでいる例文を作る。
レポート課題(選択) No.7 久野 (1973) の該当箇所を読んで、「は」の用法についてまとめる。 (「該当箇所」= pp.27-36 は必須。pp.207-261 は興味に応じて。)[6月中旬まで]

No.8 なるべく整理して、述語と直接意味関係を持っていない「は」の例をあげる。 [6月中旬まで]
第8回 2002.06.11.
説明する内容 「は」と述語の意味役割/「は」と埋め込み文の述語の意味関係/「は」と意味役割
予習課題(全員参加) (1) 「は」を「を」で置き換えうる例文を作る。(2) 「は」を「から」で置き換えうる例文を作る。
第9回 2002.06.25.
説明する内容 日本語の関係節
予習課題(全員参加) なるべくいろいろなパターンで、日本語の関係節の例をあげる。
レポート課題(選択) No.9 項の種類によって、関係節化しやすい例・しにくい例をまとめる。 [7月上旬まで]

No.10 関係節の中の要素を関係節化した例をいろいろあげ、その容認可能性について思うところを述べる。 [7月上旬まで]
第10回 2002.07.02.
説明する内容 さまざまな語順
予習課題(全員参加) 「AがBを〜」そして「BをAが〜」という形式の例文のペアを作り、意味の違いがあるかどうか、あるとすればどのような違いがあるか、考える。
レポート課題(選択) No.11 scrambling の容認可能性の低い例文をパターン別に述べる。 [7月中旬まで]
第11回 2002.07.09.
説明する内容 日本語の分裂文
予習課題(全員参加) 「〜のは〜だ」という例文をなるべくいろいろなパターンで考えてくる。(例:「アメリカを発見したのはコロンブス」)
(授業評価)
レポート課題(選択) No.12 分裂文として容認可能性の低い例文をパターン別に述べる。 [7月中旬まで]